ミトコンドリア機能障害
私たちは、磁気共鳴スペクトロスコピーによる所見、ミトコンドリア病と気分障害の併発、患者死後脳における変異ミトコンドリアDNAの蓄積など、多くの所見から、双極性障害にミトコンドリア機能障害が関連している可能性を考え、探究してきました。そして、この仮説に基づいて作成したモデルマウスが反復性のうつ状態様のエピソードを呈することを見出しました。そして、ミトコンドリア機能障害によって、気分を安定させる神経系の機能が障害されるのではないかという仮説のもと、双極性障害の原因脳部位を探究し、このマウスでは、視床室傍核という部位に、変異ミトコンドリアDNAが蓄積していることを見出しました。さらに、視床室傍核の神経伝達を阻害することにより、同様の反復性のエピソードが出現することを見出しました。そこで、なぜ脳の一部だけに変異ミトコンドリアDNAが蓄積するのか、および変異ミトコンドリアDNAが蓄積することによってどのような細胞病態が生じ症状を引き起こすかのメカニズムを探求しています。
![ミトコンドリア機能障害|精神疾患動態研究チーム(理化学研究所 脳神経科学研究センター)](https://www.juntendo-molecular-psychiatry.com/wp/wp-content/themes/juntendo-molecular-psychiatry/images/research/img_mitochondrial_01.png)